アトピーの俺の戦闘力は3200。血液検査を詳しく見てみよう。あと食事制限なんてクソ喰らえ

さて、今回は自分の戦闘力(IgE,TARCなど)について書いていきたいと思います。

血液検査の結果、その意味、食事制限をしているのかどうかなど書いていきます。

 

まずは、血液検査の結果その1、生化学検査についてです。

 

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画像:生化学検査について

生化学検査:TARC 、IgE値、肝臓がヤバイ

実際、4月の検査結果見てみると、ALTが高く、IgEも高く、EOSINという好酸球が多く、TARCも高かったです。

TARCは別の項で紹介しますが、それぞれの値の意味を説明します。

 ALTって何?キーボードについてるAltのこと?

違います。

それはさておき、正解はアラニントランスアミナーゼ(ALT)のことです。

以下の知識は、私が学部の頃に学んだヴォート基礎生化学に基いています。

 

 

ヴォート基礎生化学(第4版)

ヴォート基礎生化学(第4版)

 

 

ちょっとお高いですが、生化学知識については網羅的に書かれており大変参考になります。

また、古い版を見てみたところ、¥7とかで販売している中古もあるらしいので、お試しで買ってみるのもいいかもしれません。実際、お試しで買うには十分すぎる知識が満載なのでこちらでもいいと思いますけども・・・

 

詳しく知りたければ第2版であればP424に載っていますのでご参照ください。

ALTはアミノトランスフェラーゼ(=アミノトランスアミナーゼ)の一種です。

これは何をしているのかというと、臓器、特に肝臓や心臓、筋肉の細胞内でアミノ基(NH3+)の転移(=アミノ酸の分解、あるいは生成)を担当している酵素です。

 

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自分で書いた雑な図で申し訳ないですが、上の図はアミノトランスアミナーゼが行う反応のひとつです。

あるアミノ酸のアミノ基(上の図だとamino base)を別の場所に移すと、アミノ基はアミノ酸の一部なのでアミノ酸ではなくなります。つまり、アミノ酸分解です。

さて、ここでアミノ酸分解をなぜする必要があるのか考えた人がいれば、その人は科学的なセンスのある人かもしれません。

 

そもそも、大切な体内のアミノ酸の分解ってなんで必要なの?

アミノ酸はタンパク質を構成しているパーツのことです。

そのパーツを組み合わせると、レゴブロックのように組み上がって、様々な機能を持ちます。

ちなみに、機能を持たないアミノ酸の重合したものはただのペプチドといいます。いわゆるNEETです。

タンパク質は体を構成している構造体もあれば、実際に何か機能を持って反応を行うものもあります、例えば筋肉を動かすのもタンパク質(アクチンとミオシンタンパク質など)です。

タンパク質やアミノ酸は見ての通り、NH3+という窒素元素を含んでいます。

これは、糖や脂質とは決定的に異なる点です。

それで、質問の答えですが、なぜそんな賽の河原のようなことをしているのでしょうか。

その答えにはいくつか考えられることがあります。

(1)特に筋肉で顕著であるが、栄養素をタンパク質の形で貯蔵し、代謝の需要に応じて分解する

(2)細胞に有害かもしれない異常タンパク質の蓄積を防止する

(3)余分な酵素や調節タンパクを除去して細胞内代謝を調節する

などがあります。

アミノ酸自体は、貯蔵ができないので、人間はほぼ外部から取り込まなければならないのです。

分解したり生成したりを繰り返して、その存在量を調節しているのですね。

さて、話がそれましたが・・・

トランスアミナーゼは筋細胞にも肝細胞にもあるので、筋肉や肝臓の組織損傷マーカーとなる

血中酵素活性測定では、Serum GOT(血清GOT、GOTはグルタミン酸ーオキサロ酢酸トランスアミナーゼ、別名アスパラギン酸トランスアミナーゼ、AST)とSerum GPT(血清GPT、GPTはグルタミン酸ーピルビン酸トランスアミナーゼ、別名アラニントランスアミナーゼ、ALT)として知られています。

少し前まではGOTやGPTといった値で血液検査項目にかかれていましたが、最近ではどうも、ASTやALTと書かれるようになったみたいですね。

なぜなのかは知りません。

もともと心筋の障害で細胞内酵素が細胞から漏出してきたものを測定することでダメージがわかるということで測定していました。

これを利用して、肝臓の損傷レベルもわかるというわけです。

僕の肝臓のALTの数は、統計的にみて高いということがわかったわけです。

原因は、多分ご飯の食べ過ぎ、かな?

食事制限なんて、まるでしていません。

以前の項で書いたように、逆に太りました。

食事制限なんてしたらそれこそストレスで死にます。

あとはアレロックも原因としてはあるかもしれない・・・が、確実な原因はわかりません。

でも、皮膚の状態は良くなってます。

 

好酸球って何よ?

 

次は好酸球についてです。

好酸球は血液中の細胞の1つで、白血球のグループに属します。

これはあまり今の手持ちの本にはなかったのですが、THE CELLにはある程度大きな分類が載っていました。

とりあえずの知識として持っておくには十分だと思います。

  

詳しくは、論文を見たりして紹介したいと思っていますが、今は大きな分類について書いておきましょう。

 

好酸球電子顕微鏡写真です(The cell, Newtonpress 第5版 P.1452 FIG23-37の(C):

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 まずは、血液の分類からまとめると以下のようになります。

・骨髄肝細胞

ここから血液細胞の全てが始まる

・血液細胞+破骨細胞 生成

↓(以下、血液細胞について)

赤血球、白血球、血小板

赤血球:O2輸送

白血球:感染と戦って、場合によっては異物の破片を捕食、消化

血小板:完全な細胞ではなく、巨核球の巨大な細胞から分離してできるミニ細胞で、傷ついた血管壁の修復

↓(以下、白血球を顕微鏡で見た形から分類すると・・・)

・顆粒球、単球、リンパ球

顆粒球:おびただしい数のリソソーム(分解酵素)と分泌小胞(顆粒)があり、これらの小器官の形態や染まり方で3種類に分類できる。

単球:外来の物質や生物を捕食できる。しかし食作用はそれほど活発ではなく,むしろ,リンパ球に外来抗原を提示して免疫応答を引き起こす細胞として専門化している。

リンパ球:2種類あり、いずれも免疫応答に関係。B細胞とT細胞。B細胞は抗体を作り、T細胞はウィルス感染細胞を殺したり白血球の活性を調節する。

↓(以下、いよいよ好酸球へ。顆粒球の分類について)

・好中球、好塩基球、好酸球

好中球:最も一般的な種類で、微生物、特に最近を捕食して殺す。細菌感染に対して重要な役割を果たす。

好塩基球:ヒスタミン(種類によってはセロトニン)を分泌して炎症反応を起こす。

好酸球:寄生生物の殺傷に介入、アレルギー性の炎症反応に関与する。

 

さて、実際の顕微鏡写真を見てみると・・・

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1452 FIG23-37の(E)):

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 赤血球は一番イメージあると思いますが、実はかなり小さいですね。

一番小さいのは血小板です。配管で傷ついてるところの修理です。

好塩基球はここにはいないですが、これがヒスタミンを出して痒みの元になる炎症反応を起こします。

そして好酸球が炎症反応に対して介入し、ヒスタミンを中和するというわけです。いわゆる火事の火消し屋みたいなものでしょうか。

僕の場合、血液検査結果を見てみると、両方共に高いですね。

ですが、やっぱり炎症が起きているのを中和しようとしているのか、1型アレルギーには好酸球の増加が見られるのは間違いなさそうです。

ところで、IgEの話が出てないですね、、では解説しましょう。

 

そもそもIgEって?

Immunogloblin Eの略です。

もう察しておられる方もいるかもしれませんが、Imuuneというのは免疫です。

免疫に関わっているということですね。

免疫の仕組みは、2段構えなのです。

1段目は、自然免疫応答で、白血球やマクロファージによる異物を食べることで除去するやり方があります。

ところがこれだけでは人間は死んでしまいます。

対応が遅れるからです。

そこで、発達したのが第2弾、適応免疫応答です。

脊椎動物ではこの2種類の免疫応答が連携して、異物を認識して正確に排除する仕組みがあるのです。

アミノ酸が1個違うだけでも、攻撃するかしないかを決めるのですから、それはもう半端ではない仕組みです。

何十億年もかけて進化してきたものを、普段気づきませんが享受しているわけです。

普段は休んでいるB細胞も、抗原がやってきたら、すっと立ち上がって反応するわけです。

実は、できるやつというかこいつがいないと人間は死にます。

そして、大量に増殖し、抗原に対する抗体を大量に作り、抗体が抗原と結合することで不活性化します。

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1552 FIG25-17):

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そしてそれを攻撃、白血球が消化して始末します。

アミノ酸配列がそれぞれ異なる何十億もの抗体は、B細胞が合成します。

これらをまとめて、免疫グロブリン(immunoglobulin, Ig)と呼ばれます。

血液中に最も多量に存在するタンパク成分の1 つであり,全血漿タンパク重量の約20% を占めます。

正直、The cellを読むまでは血液中のタンパク質で一番多いとは知りませんでした。

それだけ、警備にリソースを割いているということなのでしょう。

そして哺乳類は5クラスの抗体を作り,各クラスの抗体は,抗原が結合するとそれぞれ特有の応答をします。

 

5人の侍、免疫グロブリンたち

典型的な抗体の形がどのようなものか、見ておこう。

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1552 FIG25-18):

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Y字型で、その先端のカップで抗原を捉えます。

大きさは、リンパ球のB細胞がおよそ20μm,この抗体がおよそ20nmなので、抗体が1/100サイズとすれば、人間に喩えるならば人間の体の大きさがB細胞で、眉毛の大きさで抗体かな?

真ん中にヒンジ領域というものがあり、これによってバネのちからが働いて柔軟に結合する姿勢をとることができます。

さて、では5人の侍と書いたけど、一体何と何と何がいるのか?

IgA, IgD, IgE, IgG, IgMの5種類です。

ただし、できる順番は違います。

 

生まれたてのB細胞とIgM, IgD

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1554 FIG25-22):

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IgMの生産については,B 細胞が分化する過程で最初に作る抗体です。しかしながら、多くのB 細胞は,抗原刺激を受けるとやがて抗体のクラスを切り替えます。

IgDの生産については、骨髄を離れた後,細胞表面にIgM 分子と同一の抗原結合部位をもつIgD 分子も作るようになります。

上の図で示したとおり、もともと共通のリンパ系前駆細胞があって、順に出来上がっていく様子がわかります。ただし、これは抗原とは一切無関係に起こることです。

IgGはメインの戦力

IgG は血液中の主要な免疫グロブリンで,二次抗体応答で大量に生産される四本鎖
の単量体です。

IgG 分子の尾部は補体(これによって食作用が活性化)を活性化するほかに,マクロファージや好中球がもつ特異的受容体にも結合します。

この形がいわゆる、典型的なY型の字の形をした抗体ということになります。

IgGと食作用についても参考に画像を載せておきます。IgG抗体が抗原にくっつくと、Y字型の先端部分がマクロファージや好中球の受容体にガチャっとくっつきます。

すると、図に示したように食作用を受けて食べられてしまいます。

昔赤ちゃんの頃遊んでいた、箱の側面に★や■の形の穴が空いていて、形に合わせてブロックを通して遊ぶおもちゃに似ています

中に入ったブロックは食べられてしまいます。

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1554 FIG25-22):

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IgAは分泌系にいるよ!

IgA は,分泌液(唾液,涙,乳汁,呼吸器や腸の分泌液など)中の主要な抗体であり,血液中では四本鎖の単量体だけども,分泌液に放出される前に別のポリペプチド鎖が2 本付加されて二量体になります。

さて、いよいよIgEだ!

IgEは4本鎖の単量体です。

Y字型の根っこの部分が非常に高い親和性でもって肥満細胞の受容体に結合します。

結合することで、ようやく抗体として動作を始めます。

肥満細胞は、結合された場合ヒスタミンやサイトカインを分泌します。

このヒスタミンアトピー患者にとってはなかなか厄介なものです。

好塩基球や肥満細胞からのヒスタミン(アミン類)の放出が起こると、炎症反応が起こって花粉症、喘息、蕁じん麻ま疹しんなどのアレルギー反応が起きます。

さらに、肥満細胞は好酸球(これは先ほど紹介させてもらいましたが)を活性化する作用があります。

好酸球は、IgE分子と合う受容体も持っていて、IgE受容体に覆われている細胞外の寄生虫も殺せるというすぐれものです。

おかげ様で、IgEに覆われているなんらかの物質(花粉、ハウスダストやアレルゲン)に対して攻撃しに行くので、アトピーでは困るわけです。

ただし、これも本来必要な免疫系であることは間違いないです。

僕の場合、IgEが3207だったので、非常に高かったことになります。

つまり、ヒスタミンが大量に放出されていて、何かに対して攻撃しに行っているということです。

アレロックが効くわけですね。

(The cell, Newtonpress 第5版 P.1557 FIG25-27):

 

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さてさて、TARCも紹介したかったのですが、ひとまず長くなってしまったのでこの辺にしておきましょう。

今回の知識の紹介はThe cellを中心に行いました。

図が多めで平易な表現が多かったために、非常にわかりやすかったです。

初学者にとってはいい本ですね!

ぜひ、もっと詳しく知りたい人は購入をおすすめします。

 

細胞の分子生物学

細胞の分子生物学

 

 

ではでは。