TARCとCTAKレベルとアレルギー疾患の関係についての論文続きその3 ELISA法

 さて、論文紹介の続きその3です。

Methodの患者選別方法の続きからになります。

現在紹介している論文は次の通りです。

Hijnen, D., De Bruin-Weller, M., Oosting, B., Lebre, C., De Jong, E., Bruijnzeel-Koomen, C., & Knol, E. (2004). Serum thymus and activation-regulated chemokine (TARC) and cutaneous T cell- attracting chemokine (CTACK) levels in allergic diseases: TARC and CTACK are disease-specific markers for atopic dermatitis. The Journal of Allergy and Clinical Immunology, 113(2), 334–40. http://doi.org/10.1016/j.jaci.2003.12.007

前回の論文の紹介内容も貼っておきます。

atopic-dermat.hatenablog.jp

 

 

atopic-dermat.hatenablog.jp

 

AD(アトピー性皮膚炎)の重症度の評価は、Leicester Sign Score(LSS; レンジ 0から108)で、その重症度のスコアは6つの臨床的特徴(赤み、化膿、すりむき、痂皮、感想あるいは鱗化、ひび割れや平行割れと苔癬化)が決められた6箇所の体の位置 で、スケールが0(なし)から3(重症)まででスコア化される。すべての455の血清に対してTARCレベルが決定された;163サンプルのサブセットよりCRACKレベルが決定された。

以前にも書きましたが、このLeicester Sign Score東邦大学医療センターで使われているのか医師に聞きましたが、使われていないようでした。

そもそもスコア化した指標自体を使用していないようでした。

電子カルテには、問題のある箇所と、簡易的な人型の絵がありそれに塗り絵をする形で診察が行われていました。

6箇所というと、頭、胴体、左腕、右腕、左足、右足の6箇所でしょうか。あくまで推測ですが。

続けます。

7人の爆発的な炎症を起こしている重症なAD患者は血清TARCレベルとCTACKレベルが決定され、その測定は経口シクロスポリン(CsA) (3から5 mg/kg/ per day)の投与前と治療中に実施された。ADの重症度はLSSを使って評価され、治療に対する評価は内科医のグローバル評価(Physician's Global Assesment, PGA)によってスコア化された。PGAは患者の湿疹を0から5段階の総合評価で決め、ベースライン評価に対して相対的に障害のある部位の質と程度を考慮に入れた( 0 = 綺麗 [100%] , 1 = ほぼ綺麗[90-99%の改善], 2 = 注目すべき改善 [50-89%], 3 = 中位の改善[50%以下] , 4 = 変化なし、 5 = 悪化)

 これで患者とサンプルについては終わりです。

次は、ELISA法についての詳細です。

ELISA法の一般的な原理について説明します。

ELISA法とは

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画像引用元:

ELISA Procedure

 

ELISAとは、抗体と色の変色を使って物質の特定を行う方法です。

ELISAは”ウェット系”のラボで多く使われる方法で、生化学的な解析手法を用いています。酵素免疫測定法(EIA)を使って物質、特に水中の抗原を特定するのに用いられます。

まずは、抗原をマイクロプレートやガラスに固着させます(一番左)。

その後、抗体(Primary Antibody, 1次抗体)を固定された抗原に対して流し込み、結合させます。そして、Washして結合しなかった抗体を除去します(左から2番目)。

標識した抗体(Labeled Secondary Antibody, 標識2次抗体)を流し込み、1次抗体と結合させます。この二次抗体、緑色のユニットがくっついていますが、これは酵素で、この酵素が基質を取り込むと発光するようになっています。その後、Washして結合しなかった2次抗体を除去します(左から3番目)。

最後に、基質を流し込み、2次抗体が持っている酵素基質を与えてやると発光するようになるので、それを検出します(左から4番目)。

これで何がわかるのでしょうか。

ある特定の抗原Aにしか反応しない抗体Aを最初に投下すると、抗体Aだけがくっつきます。他にある抗原B,抗原C,抗原D・・・・抗原Zには抗原Aはくっつきません。

最終的に、抗体Aがくっついた抗原Aの濃度がわかるという仕組みです。

今回の実験では、TARCを抗原としてその濃度をELISAを使って測定したということです。

ここで、実際に実験で行われたELISA法の方法を書いても良いのですが、恐らく意味不明になるので書くのはやめておきます。

 

続きはまたのちほど。

ではでは。