これでわかるシリーズ!TARCによって活性化するヘルパーT細胞(TH2)。全く正常の反応でも度を越すと悪影響になる!?
勝手にシリーズ化してしまいましたが、今日は6のヘルパーT細胞がTARC(サイトカインのに属する)を分泌するところまでです。
例によって、The cellを参照しています。
非常にわかりやすく、とにかく図がほぼすべての説明に付属しているためイメージしやすく大変勉強が進みやすいです。
おすすめです。
さて、毎度ですが全体像を書いておきます。これまではで1-4は紹介しました。
今回は以下のリストでいうと5です。
- 骨髄で血液製造
- 共通リンパ系前駆細胞
- 抹消リンパ器官でT細胞とB細胞に分化
- T細胞は3種類(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、調節性サプレッサーT細胞)に分化
- ヘルパーT細胞がサイトカイン(ケモカインはこれの一種)分泌
- サイトカインがマクロファージ、樹状細胞、B細胞、細胞傷害性T細胞の活性化
- B細胞からIgEの生産、IgEが肥満細胞や好塩基球、好酸球に結合
- くしゃみや痒み、下痢を引き起こす局所的仲介物質を放出
- 体の上皮表面から細胞外微生物や寄生虫を追い出すのを助ける
前回はヘルパーT細胞は3種類に分化するところまで説明しました。
その中でヘルパーT細胞がTARCと関わりがあるので、それを取り上げていきます。
ヘルパーT細胞はTH1とTH2に更に分かれます。
では何が違うのかというと、TH1とTH2では分泌するサイトカインが違います。
あ、サイトカインというのはシグナルで、青信号や赤信号と同じでそれを出すとある酵素が活性化したり抑制したりします。
TH1は主に細胞内の微生物から体を守り、TH2は微生物や他細胞の寄生虫などおもに細胞外の病原体から体を守ります。
TARCもサイトカインの一種で、TH2に結合してTH2の機能を活性化します。
図にするとこんな感じになります。
The Cell, Newtonpress, P1593, FIG.25-68
ちょっと細かいので拡大してみてください。
TH1とTH2とありますが、TARCが作用するのはTH2です。
ちなみに、TH1は細胞内の病原体に対抗するのがメインと書きましたが、実際には細胞外の微生物を覆わせたり補体を活性化してその排除を手伝うことがあります。
これに対してTH2細胞(TH2 Cell)は、微生物や多細胞の寄生虫などおもに細胞外の病原体から体を守ります。
- TARCや抗原提示細胞がTH2細胞に結合する
- TH2細胞は、インターロイキン4と10(IL4 とIL10)など多様なサイトカインを分泌
- B 細胞を刺激してIgM,IgA,IgE,特定サブクラスのIgG などほとんどのクラスの抗体を作らせる
- こうした抗体の一部は肥満細胞や好塩基球や好酸球に結合
- これらの細胞は、抗原が結合して活性化すると、くしゃみやせきや下痢を引き起こす局所的仲介物質を放出してする
- 体の上皮表面から細胞外微生物や寄生虫を追い出すのを助ける
ということです。
体としては、全く正常のことやってるつもりなんです。
でも、何かをきっかけにこれがTH2細胞の活性が高くなって、攻撃しなくても良いものまで攻撃をしてしまっているようです。
じゃあ、全てのTH2細胞の活性を抑えたらどう?と考えた人がいれば科学的な見方ができる人かと思います。
ところがこれをやるとどうなるかというと、
最初のところの、
-
TH2細胞は、インターロイキン4と10(IL4 とIL10)など多様なサイトカインを分泌
これができなくなります。
これは免疫系の応答をなくすことになるので大変なことになります。
病気に対して全くの無力になる可能性があります。
安心して欲しいのは、痒みを止める薬はTH2細胞の活性を止めているわけではないのです。
むしろTH2細胞を抑制したら、免疫系が大変なことになりますしそんな薬は承認されるはずがありません。
抗ヒスタミン剤のターゲットはそこでなく、肥満細胞であるマスト細胞のところの段階をターゲットにしています。
最後から2番めの、
-
これらの細胞は、抗原が結合して活性化すると、くしゃみやせきや下痢を引き起こす局所的仲介物質を放出してする
これを止めるんです。
だから、痒みやくしゃみがでなくなるのです。
その根本を止めるのは無謀すぎますよね。
でも、発想としては間違っていませんよ。
もしTH1細胞のことが知りたくなったら、本を実際買って勉強してくださいね。
今日はこんなところにしておきます。
ではでは。
これでわかる!T細胞分化!
論文紹介といいながら、ほとんど背景知識の説明で終わってしまいました。
その分わかりやすくなるように配慮しています。
今回も背景知識で終わってしまうと思いますが、ご容赦ください。
前回は1.骨髄で血液製造から3.の抹消リンパ器官でT細胞とB細胞に分化する、まで書きました。
ケモカインが分泌されるまでのゆりかごから墓場にいく途中まで
ケモカインの直接の説明にいく前に、ケモカインに関わる経路の大きな概要について見て行きましょう。
- 骨髄で血液製造
- 共通リンパ系前駆細胞
- 抹消リンパ器官でT細胞とB細胞に分化
- T細胞は3種類(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、調節性サプレッサーT細胞)に分化
- ヘルパーT細胞がサイトカイン(ケモカインはこれの一種)分泌
- サイトカインがマクロファージ、樹状細胞、B細胞、細胞傷害性T細胞の活性化
- B細胞からIgEの生産、IgEが肥満細胞や好塩基球、好酸球に結合
- くしゃみや痒み、下痢を引き起こす局所的仲介物質を放出
- 体の上皮表面から細胞外微生物や寄生虫を追い出すのを助ける
4.T細胞は3種類(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、調節性サプレッサーT細胞)に分化
主要なT 細胞には、タイトル通り3種類あります:
細胞傷害性T 細胞、ヘルパーT 細胞、調節性(サプレッサー)T細胞です。
エフェクター細胞傷害性T 細胞は、ウイルスやほかの細胞内病原体に感染した細胞を直接殺す役割があります。
エフェクターヘルパーT 細胞は,ほかの細胞(おもにマクロファージ、樹状細胞、B 細胞、細胞傷害性T 細胞)の応答を促進させます。
調節性(サプレッサー)T細胞は、ほかの細胞、特に自己反応性エフェクターT 細胞の活性を抑制します。
4.1細胞傷害性T細胞
細胞傷害性T細胞(cytotoxic T cell)は、宿主細胞の細胞質で抗体による攻撃を避けて増殖するウイルスやある種の細菌、寄生虫などの細胞内病原体から脊椎動物を防御しています。
細胞傷害性T細胞は、微生物が増殖して感染細胞から脱出し、近くの細胞に感染する前
に感染細胞を殺して防御を果たします。
ここで実際に電子顕微鏡写真を見てみたらイメージがしやすいです。
引用元:The Cell, NEWTONPRESS, P.1572, Fig.25-46
(A)が標的に結合しているエフェクター細胞傷害性T細胞の電子顕微鏡写真。
(B)は細胞傷害性T細胞と破壊した腫瘍細胞の電子顕微鏡写真。見事に細胞膜が破れて死んでいます。
(C)抗チューブリン抗体染色したT細胞と腫瘍細胞の免疫蛍光顕微鏡写真。T細胞中心体が標的である腫瘍細胞の膜表面にがっつり結合しています。ここから腫瘍細胞に分泌物を送り込むようです。
細胞傷害性T細胞は直接敵を殴りこみにかかる、鉄砲玉にようなものです。
心強いですね。
4.2ヘルパーT細胞
ヘルパーT 細胞(helper T cell)は細胞内外の病原体に対する防御に欠かせない存在です。
ヘルパーT 細胞は、B 細胞の抗原刺激を助けて細胞外の病原体とその毒性産物の不活性化や排除を助ける抗体を作らせたり、マクロファージを活性化して食胞内で増殖する細胞内病原体を破壊させたり、細胞傷害性T 細胞の活性化を助け感染した標的細胞を破壊させたり、樹状細胞を刺激して活性化状態を維持させたりします。
役割としては多岐に渡りますが、以下図を見てもらえるとその動きがイメージしやすくなります。
引用元:The Cell, NEWTONPRESS, P.1574, Fig.25-48
まだ誰とも接触していない未感作ヘルパーT細胞は、抹消リンパ器官で分化してTH1またはTH2エフェクターヘルパーT細胞になります。
ということで、ヘルパーT細胞は細胞傷害性と違って、その他の細胞の動きを活発化させるいわゆる弾薬を持ち運ぶ係のようなものでしょうか。
プライベート・ライアンでは、「アパーム!弾を持ってこい!」という感じでしょうか。
4.3 調節性T細胞
そもそも調節性T細胞(regulatory T cell)自体が同定されたのがごく最近です。というのは、同定に適した細胞標識が最近までなかったからです。
最初は他のリンパ球の活性を抑制する能力から同定されたので、サプレッサーT細胞と呼ばれていました。
ところが、細胞標識が利用可能になったので、このT細胞は名前が調節性T細胞と改名されました。
エフェクターヘルパーT細胞や細胞傷害性T細胞、樹状細胞の活性を抑制することがわかりました。
調節性T細胞は、血液や抹消リンパ器官にあるT細胞の10%にも満たないですが、事故反応性エフェクターヘルパーT細胞や細胞傷害性T細胞の活性を抑制して免疫自己寛容に重要な役割を果たしています。
以上からまとめると、この調節性T細胞がないと我々は内部に持つ警備機構に殺されることになります。
めちゃくちゃ重要ですね。
5.ヘルパーT細胞がサイトカイン分泌
ということで書きたいのですが、このコラムだけで相当長くなってしまいそうなので分割することにしました。
とりあえず今日覚えて帰って欲しいのは、T細胞が3種類に分かれて、ヘルパーT細胞はTH1とTH2に分かれてそれぞれ仕事をするということです。
ではでは。
これでわかる!TARCの全体像と、論文の背景について(最初の2行)、T細胞とB細胞の分化と役割について
タイトルの通り、前回紹介した論文背景の紹介です。
前回はAbstractでざっと全体像を書きましたが、多分何を言われているのかわからないと思います。
そこで、わかりやすくまずはイントロダクションから訳していきたいと思います。
と行きたいところですが、いきなりTARCの更に細部から説明しても知識の森のなかで迷ってしまいます。
そこで、TARCと痒みまでの全体像を説明します。
以下の図は論文からの引用になります:
Kataoka, Y. (2014). Thymus and activation-regulated chemokine as a clinical biomarker in atopic dermatitis. The Journal of Dermatology, 41(3), 221–9. doi:10.1111/1346-8138.12440
引用:Fig.8より
この図に書いてあること全てがわかる必要はありません。
大まかな流れさえ知っておけば良いのです。
アレルゲンや黄色ブドウ球菌が細胞表面にやってくる→
表皮中のDendritic Cell(DC)/Langelhance Cell(LC)(いわゆる外敵センサー、抗原提示細胞)が受信する→
センサーによってTARC(ケモカインの一種で、シグナルの一種)を生成する→
TARCによってTh2(T-helper2)がシグナル(IL-4,IL-5)を生産→
B細胞によるIgEの生産増加、好酸球の浸潤やその他炎症に関わる細胞が活性化する→
マストセルからヒスタミンが出る→
ヒスタミンがC-fiber(神経)に結合して大脳へ痒みを伝える
という流れです。
難しいですか?
要するに、抗原がくっつく→センサーが受信→TARCが情報伝達→痒みを感じるというわけです。
なお、IgE以降の詳細は以前書いていますので気になる方はご参照ください。
では、次に前回紹介しようとしていた論文の背景についてです。
背景について
炎症性の細胞が組織に浸潤するは、ケモカイン(Chemokines)の制御によって調節されている。ケモカインは小さな分泌ペプチドであり、組織に特異的なリンパ球の導入と移動を制御している。その際にGプロテインと共役する7回膜貫通受容体を通してシグナルを送る。
まだ出だし2行目の時点で意味がよくわからない人も出てくると思いますので、説明します。
例によって、解説に使うのはThe Cellです。ヴォート基礎生化学にはさすがに出ていませんでした。
ケモカインの前に概要を見てみよう
ケモカインの直接の説明にいく前に、ケモカインに関わる経路の大きな概要について見て行きましょう。
- 骨髄で血液製造
- 共通リンパ系前駆細胞
- 抹消リンパ器官でT細胞とB細胞に分化
- T細胞は3種類(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、調節性サプレッサーT細胞)に分化
- ヘルパーT細胞がサイトカイン(ケモカインはこれの一種)分泌
- サイトカインがマクロファージ、樹状細胞、B細胞、細胞傷害性T細胞の活性化
- B細胞からIgEの生産、IgEが肥満細胞や好塩基球、好酸球に結合
- くしゃみや痒み、下痢を引き起こす局所的仲介物質を放出
- 体の上皮表面から細胞外微生物や寄生虫を追い出すのを助ける
1~3の骨髄からT細胞とB細胞分化について
引用元:The Cell, NEWTONPRESS, P.1543, Fig.25-6
様々な分化能を持つ造血幹細胞(hemopoietic stem cell)から共通リンパ系前駆細胞(common lymphoid progenitor cell)ができます。
共通リンパ系前駆細胞が血液を通って造血組織から胸腺に移動し、そこでT 細胞
に分化します。
胸腺はThymusと英語で言うので、そこで作られた細胞をT細胞といいます。非常に明快ですね。
一方B細胞は、造血組織内で共通リンパ系前駆細胞から分化します。骨髄の中で起こっているので、骨髄はBone marrowということからB細胞という名前がつきました。
図を見てもらえれば一発でわかると思います。
T細胞とB細胞の役割
以前にも少しだけ触れていますが、T細胞、B細胞は白血球の中のリンパ球の一種です。ここで一般的な大まかな概要を掴んでおきましょう。
引用元:The Cell, NEWTONPRESS, P.1540, Fig.25-2
TおよびBが2種類の応答を行っている図です。
ウイルス感染に応答しているリンパ球を示しています。
一方の抗体応答では,B 細胞がウイルスを中和する抗体を分泌します。
もう一方のT 細胞性応答では、T 細胞がウイルス感染細胞を殺します。
双方とも、図では省略した経路によって自然免疫応答が適応免疫応答の活性化を助ける仕組みがあります。
さて、ちょっと長くなってしまったので、4から先はまた別の記事にします。
ではでは。
アレルギー性疾患の胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)と皮下T細胞誘導性ケモカインのレベルについて:TARCとCTACKはアトピー性皮膚炎の疾患特異的マーカー
こんばんは、みなさん。
更新しようと思ってて仕事量が倍になってしまった私です。
まぁそんなことは置いておいて、タイトルだけ見ると難しそうな上記論文を紹介したいと思います。
なぜこの論文なのか?
なぜこれを紹介しようと思ったかというと、日本では2008年からTARCを保険で測定できるようになったからです。
最近ではこれを診断基準にしている医師もいるかもしれません。
東邦大学では測定できますが、TARC測定を積極的に推してくる医師はこれまでのところいませんでした。
やはり実践的には、ベテランの医師には目視で状態を把握するので充分なのかもしれません。
経験で血液検査でできるレベルのことを補っているのでしょう。
TARCを測定する意味はあるのか?
私としては、これを測定する利点が3つあると考えています。
- 現在のアトピーの悪化レベルを客観的に測定できること
- 血液検査なので記録に残せること(自分と医師にとっての治療の成果物)
- 薬の強度の選択基準になること(医師によって)
このメリットが、血液検査の検査額よりもたかければ実施してもいいと考えています。
特に2.は重要と思います。
というのも、何ヶ月も病院に通って、薬代と時間を犠牲にしているわけですから、ある程度の結果が伴わないと一体何をしていたのか、わからないからです。
もし、TARCレベルを指標として治療する医師がいれば積極的に測定するのもありでしょう。
東邦大学で血液検査を実施しましたが、領収書を確認してみると保険点数が760点でした。
通常、1点=10円ですので、7600円かかります。
3割負担で2280円です。
2000円ちょいでこれだけの情報がわかるなら、2-3ヶ月に1回程度なら実施しても良さそうな気がします。
1月あたり1000円もかからない計算ですし。
私は上述の通り、TARC測定を勧めてくる医師がほとんどいなかったので、自分で測定することを申請しています。
論文の紹介
さて、では論文についてです。
Hijnen, D., De Bruin-Weller, M., Oosting, B., Lebre, C., De Jong, E., Bruijnzeel-Koomen, C., & Knol, E. (2004). Serum thymus and activation-regulated chemokine (TARC) and cutaneous T cell- attracting chemokine (CTACK) levels in allergic diseases: TARC and CTACK are disease-specific markers for atopic dermatitis. The Journal of Allergy and Clinical Immunology, 113(2), 334–40. doi:10.1016/j.jaci.2003.12.007
これについて、紹介していきます。
この論文は2004年にパブリッシュされており、現時点でscopusによると124件の被引用数でした。
今日は、論文の短縮のAbstractだけ紹介します。
背景:
CD4+ T細胞の組織浸潤は特にアレルギー疾患の経路において重要な役割を担っている。T細胞のトラフィックは特定のケモカインとそのレセプター(受容体)によって調節を受ける。
目的:
この研究の目的は、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)と皮下T細胞誘導性ケモカイン(CTACK)がアレルギー疾患を持つ多数の母集団における患者でどのように関与しているのか調査することである。
方法:
血清TARCおよびCTAKレベルが455人のアレルギー疾患を持つ患者で測定された。患者は以下のように分類された:アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis, AD)アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、あるいはその複合、そしてコントロールして健康的な患者である。血清TARCおよびCTACKレベルはアトピー性皮膚炎を患う患者では相関が見られた。更に付け加えると、アトピー性皮膚炎患者7人においては、シクロスポリンA治療を開始した後に血清TARCとCTACKのレベルの調査も行った。最後に、TARCとCTACの発現性はアトピー性皮膚炎患者の皮膚切片切除後、免疫染色法によって確認された。
結果:
アトピー性皮膚炎患者におけるTARCとCTACKの血清レベル両方ともに、健康なコントロール区の患者とアレルギー呼吸器疾患患者とくらべて著しく高かった。更に、血清TARCとCTACKレベルはアトピー性皮膚炎患者の病態と明らかに相関が見られた。免疫反応性TARCが表皮細胞でなく、真皮の浸透性細胞および内皮細胞において発見された。
結論:
血清TARCレベルはアトピー性皮膚炎患者特有の病態の客観的な指標となる。更に、これは治療のモニタリングとしてそれを保証するツールでもあるだろう。
詳細については、後ほど。
理解すれば、なぜTARCを測定するのかわかるようになります。
そして、そのメリットデメリットがわかりますから、TARC検査をどう見たらよいのかわかるようになるはずです。
あなたの治療にもきっと役に立つと思います。
ではでは。
チュービーファスト[Tubifast®]のレビュー その他、いくつかのアトピー対策用品も!
みなさんどうもです。
今、論文を何報か読んでいるのと、TARCについてまとめていますので少々お待ちを。
その間に、4月で一番ひどかった時に使っていた(今も使っていますけど)チュービーファストとチタン合金入り指サックのレビューをします。
早かったのでAmazonで買っちゃいましたが、Tubifastはサンプルを薬局で手に入れてからでもいいかもしれません。
チュービーファスト[Tubifast®]:伸縮性のチューブ型包帯とチタン合金入り指サック
僕が買ったのは上記2つです。
チュービーファスト2WAYの青および黄色です。
あとはもう完全にオプションですが指サックも買いました。結構高かったです。。
それぞれについてレビューしていきます。
チュービーファストって何?
どうやらアトピー専門のグッズ販売を行っている商社があるようで、そこが正式な輸入元になっているのかな?
そこからの引用になります
引用元:アトピー 、アレルギー 、健康対策ショップ/もぐもぐ共和国
画期的なスキンケア
チュビファーストは、手、足、頭や胴体など様々な部位の皮膚の炎症に簡単に装着でき、患部を保護することに適した伸縮性のあるチューブタイプの包帯です。
アトピー性皮膚炎や乾燥肌などにより、痒いにもかかわらず掻く行為を抑制することは、無意識状態あるいは睡眠状態の中では非常に困難で、精神的ストレスもかかります。
チュビファーストは、巻き包帯のように無意識下で簡単にほどいてしまったり、外してしまうことがなく、ぴったりフィットして肌を掻きむしっても掻き壊しに至らないよう防護し、かゆみの悪循環を回避するために開発されました。
ということで、患部の保護と保湿に便利な包帯というわけです。
チューブ型で伸縮性があり、腕や脚を通すだけの簡単な着脱方式です。
私が実際に使用している写真をあげておきます。
写真:Tubifast®の外見
ロールタイプで、横にある切り込みから包帯を出して、適宜切って使う
写真:腕用は青の包帯
締め付けは全然感じません。
写真:Tubifastの青と黄色の組み合わせ
脚も結構ひどかったので、青と黄色の組み合わせをしてみました。
黄色が太もものところ、青がふくらはぎをカバーしています。
本当はくるぶしも酷かったのでくるぶしまでカバーしたかったですが、ケチってしまったのでくるぶしに届いていません。
僕みたいな大根脚でも全然入ってしまいます。
さすがに青を太ももまで上げるのは無理でしょうが、女性で細ければ青で全部カバーできそうです。
写真:Very strongクラスを使い出した一番酷い時の腕
今もまだ少し残っていますが、この時は手の平も手の甲も結構痒くて赤いぼつぼつがたくさんありました。
この手の甲までを包帯でカバーしています。
写真:Very strongクラスを使い出した一番酷い時の脚
脚の甲まで酷く痒くて、赤いぼつぼつもまだ結構あるときのものです。
Tubifastの使い方
最も詳しい使い方はここに出ています:
チュビファースト適用の手引き/アトピー・アレルギー・健康対策ショップ【もぐもぐ共和国】
私が参考にさせてもらったのは、手の平までの通し方と、ぬるま湯につけるやり方です。
特にぬるま湯につけて更にその上から包帯を乗せてやるのは長いこと保湿が持続してよかったです。
曖昧な記憶ですが3~5時間程度は保湿が続いてたような気がします。
具体的な手順を書きますと、
- 患部の長さに合わせてTubifastを2本用意(僕の場合、腕であれば45cmx2本を1セットとして両腕の2セット合計4本)
- 1本をぬるま湯に浸す
- ステロイド剤や保湿剤を患部にもう一度塗っておく
- 3.で浸しておいたTubifastを軽く絞って腕や脚に通す
- 4.で通したチューブの上から更にもう1本チューブを通す
使用して10分もすると冷えてきます。
雨に濡れたような感覚になりますので、こういった感覚が好きでない人は温かいうちに取り外して乾いたものをもう一度通すというやり方でもいいと思います。
それだけでも、保湿効果はだいぶ変わってくるのではないでしょうか。
僕の場合は取り外すのが面倒だったのと、家に引きこもっているし外出するわけでもないので、保湿を優先してずっとつけっぱなしにしていました。
もう一度温めたかったら、水分を含んでいるうちに電子レンジしてみてもいいのかもしれません。
ほとんどが絹で、一部ナイロンと伸縮性の素材が入っているだけなので有害物質も出てこないでしょう。
僕は電子レンジを試したことないです、やるときは自己責任でお願いします。
Tubifastの効果。お勧めです。
皆さん、気になるのは効果ですよね。
勘違いしないで欲しいのですが、あくまでこのツールは掻き壊しを”防止”するためと、保湿を持続させるためです。
過剰な期待はしないほうがいいでしょう。
以下は主観的ですが、使ってみての感想です。
- 結局痒すぎる時は包帯の上からでも掻いてしまう(あるいはもっと酷いと包帯をずらして掻く)
- 一方で患部を包帯で圧迫するだけでも痒みが分散する気がする
- ステロイドや保湿剤を厚めに塗っても服につかないのが良い
- 使用期間1ヶ月程度、その後は治ったら使用頻度が減る(これはよいことです)
- 着脱は非常に簡単
- 洗濯しているとだんだんほつれが酷くなってくる(これは仕方ないかもしれません)
という印象です。
僕の場合、TARCが3200レベルで中程度~重症程度ですが、Tubifastを使わないといけないほど酷かったのは1ヶ月程度でした。
入院治療をするほど酷い人(TARCで1万以上)はかなりおすすめです。
思わず掻いてしまう時に爪で直接掻かずに包帯を掻くこととなり、皮膚防御の役割をばっちり果たします。
あまりにも掻き毟りたい衝動に駆られてしまうぐらい酷い時は包帯をずらして掻いてしまうけど、間違いなくトータルダメージは少なくなる効果はあります。
まずはお試しで使いたい人は薬局に問い合わせしてみてください。
サンプルをいただけるかもしれません。
もし我慢できないときはAmazonで買うと一番早いです。
僕もAmazonから買いました。
私が購入したのは、青、黄色それぞれ1箱づつです。
ちなみに、僕は青を全部使い切りました。
腕4セット、脚4セットです。
黄色は太ももしかカバーできないため、少し余ってしまいました。
いずれにしても、これでみなさんの病態が少しでもよくなることを祈ります。
チタン合金入の指サックの効果
さて、チタン合金入りの指サックですが、これはかなり効果があったです。
写真:指サック(Mサイズ)
僕が手の大きさは人よりかなり小さく、男性ではSサイズに相当します。
Amazonで注文するときはMサイズにしてみました。
問題なく入りました。
そこまで余ったり逆に短いと感じたことはありません。
伸縮性もあるので、指の太さもあまり問題になりません。
ただ、最初はちょっと窮屈で痛みがあるかもしれません。
様子を見ながら使ってみて、痛みが出てこなくなったら大丈夫だと思います。
もし痛いようなら、そのサイズは合ってない可能性があります。
実際の効果ですが、これはかなり効きました
というのも、当時は指の平がすごく痒かったのですが、これのお陰で着脱が面倒なのでよっぽどじゃない限り取り外ししないので掻かなくなったのです。
更に、チタンのおかげで血液循環が良くなるため、手があたたかみを感じました。
割とすぐに手の指の腹がガビガビだったのがしっとりとしてきて、2週間程度で気にならなくなりました。
チュービーファストと平行して使うことで、さらに治りがよくなります。
ただし、金属アレルギーの人は気をつけた方がいいと思います。
保湿保護 チタン合金入り 指しっとりサポーター無地L 美容師に方にも 手荒れ 乾燥肌 保護手袋 スキンケア 両手1セット (L)
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実は、もう1個紹介したいものがあるんですが、使う以前に痛すぎて諦めたものがあります。
それは、寝るときかかない手袋です。
写真:寝るときかかない手袋装着
つけてすぐに、圧迫感から腕が痛くなりました。
我慢していると痛くなくなるという情報もありますが、あまりにも痛すぎたので我慢できずに諦めてしまいました。
代わりに指サックで十分効果があったので、これを使っていました。
ですので、これのレビューは残念ですがありません。
とりあえずは、こんなところです。
まとめるとチタン合金入りの指サック+チュビファーストの組み合わせがもっとも効きました。
寝るときかかない手袋は、痛みに我慢できませんでした。
ではでは。
アトピーの俺の戦闘力は3200。血液検査を詳しく見てみよう。あと食事制限なんてクソ喰らえ
さて、今回は自分の戦闘力(IgE,TARCなど)について書いていきたいと思います。
血液検査の結果、その意味、食事制限をしているのかどうかなど書いていきます。
まずは、血液検査の結果その1、生化学検査についてです。
画像:生化学検査について
生化学検査:TARC 、IgE値、肝臓がヤバイ
実際、4月の検査結果見てみると、ALTが高く、IgEも高く、EOSINという好酸球が多く、TARCも高かったです。
TARCは別の項で紹介しますが、それぞれの値の意味を説明します。
ALTって何?キーボードについてるAltのこと?
違います。
それはさておき、正解はアラニントランスアミナーゼ(ALT)のことです。
以下の知識は、私が学部の頃に学んだヴォート基礎生化学に基いています。
- 作者: Donald Voet,Charlotte Pratt,Judith Voet,田宮信雄,村松正實,八木達彦,遠藤斗志也
- 出版社/メーカー: 東京化学同人
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ちょっとお高いですが、生化学知識については網羅的に書かれており大変参考になります。
また、古い版を見てみたところ、¥7とかで販売している中古もあるらしいので、お試しで買ってみるのもいいかもしれません。実際、お試しで買うには十分すぎる知識が満載なのでこちらでもいいと思いますけども・・・
詳しく知りたければ第2版であればP424に載っていますのでご参照ください。
ALTはアミノトランスフェラーゼ(=アミノトランスアミナーゼ)の一種です。
これは何をしているのかというと、臓器、特に肝臓や心臓、筋肉の細胞内でアミノ基(NH3+)の転移(=アミノ酸の分解、あるいは生成)を担当している酵素です。
自分で書いた雑な図で申し訳ないですが、上の図はアミノトランスアミナーゼが行う反応のひとつです。
あるアミノ酸のアミノ基(上の図だとamino base)を別の場所に移すと、アミノ基はアミノ酸の一部なのでアミノ酸ではなくなります。つまり、アミノ酸分解です。
さて、ここでアミノ酸分解をなぜする必要があるのか考えた人がいれば、その人は科学的なセンスのある人かもしれません。
そもそも、大切な体内のアミノ酸の分解ってなんで必要なの?
アミノ酸はタンパク質を構成しているパーツのことです。
そのパーツを組み合わせると、レゴブロックのように組み上がって、様々な機能を持ちます。
ちなみに、機能を持たないアミノ酸の重合したものはただのペプチドといいます。いわゆるNEETです。
タンパク質は体を構成している構造体もあれば、実際に何か機能を持って反応を行うものもあります、例えば筋肉を動かすのもタンパク質(アクチンとミオシンタンパク質など)です。
タンパク質やアミノ酸は見ての通り、NH3+という窒素元素を含んでいます。
これは、糖や脂質とは決定的に異なる点です。
それで、質問の答えですが、なぜそんな賽の河原のようなことをしているのでしょうか。
その答えにはいくつか考えられることがあります。
(1)特に筋肉で顕著であるが、栄養素をタンパク質の形で貯蔵し、代謝の需要に応じて分解する
(2)細胞に有害かもしれない異常タンパク質の蓄積を防止する
(3)余分な酵素や調節タンパクを除去して細胞内代謝を調節する
などがあります。
アミノ酸自体は、貯蔵ができないので、人間はほぼ外部から取り込まなければならないのです。
分解したり生成したりを繰り返して、その存在量を調節しているのですね。
さて、話がそれましたが・・・
トランスアミナーゼは筋細胞にも肝細胞にもあるので、筋肉や肝臓の組織損傷マーカーとなる
血中酵素活性測定では、Serum GOT(血清GOT、GOTはグルタミン酸ーオキサロ酢酸トランスアミナーゼ、別名アスパラギン酸トランスアミナーゼ、AST)とSerum GPT(血清GPT、GPTはグルタミン酸ーピルビン酸トランスアミナーゼ、別名アラニントランスアミナーゼ、ALT)として知られています。
少し前まではGOTやGPTといった値で血液検査項目にかかれていましたが、最近ではどうも、ASTやALTと書かれるようになったみたいですね。
なぜなのかは知りません。
もともと心筋の障害で細胞内酵素が細胞から漏出してきたものを測定することでダメージがわかるということで測定していました。
これを利用して、肝臓の損傷レベルもわかるというわけです。
僕の肝臓のALTの数は、統計的にみて高いということがわかったわけです。
原因は、多分ご飯の食べ過ぎ、かな?
食事制限なんて、まるでしていません。
以前の項で書いたように、逆に太りました。
食事制限なんてしたらそれこそストレスで死にます。
あとはアレロックも原因としてはあるかもしれない・・・が、確実な原因はわかりません。
でも、皮膚の状態は良くなってます。
好酸球って何よ?
次は好酸球についてです。
好酸球は血液中の細胞の1つで、白血球のグループに属します。
これはあまり今の手持ちの本にはなかったのですが、THE CELLにはある程度大きな分類が載っていました。
とりあえずの知識として持っておくには十分だと思います。
詳しくは、論文を見たりして紹介したいと思っていますが、今は大きな分類について書いておきましょう。
好酸球の電子顕微鏡写真です(The cell, Newtonpress 第5版 P.1452 FIG23-37の(C):
まずは、血液の分類からまとめると以下のようになります。
・骨髄肝細胞
ここから血液細胞の全てが始まる
↓
・血液細胞+破骨細胞 生成
↓(以下、血液細胞について)
・赤血球、白血球、血小板
赤血球:O2輸送
白血球:感染と戦って、場合によっては異物の破片を捕食、消化
血小板:完全な細胞ではなく、巨核球の巨大な細胞から分離してできるミニ細胞で、傷ついた血管壁の修復
↓(以下、白血球を顕微鏡で見た形から分類すると・・・)
・顆粒球、単球、リンパ球
顆粒球:おびただしい数のリソソーム(分解酵素)と分泌小胞(顆粒)があり、これらの小器官の形態や染まり方で3種類に分類できる。
単球:外来の物質や生物を捕食できる。しかし食作用はそれほど活発ではなく,むしろ,リンパ球に外来抗原を提示して免疫応答を引き起こす細胞として専門化している。
リンパ球:2種類あり、いずれも免疫応答に関係。B細胞とT細胞。B細胞は抗体を作り、T細胞はウィルス感染細胞を殺したり白血球の活性を調節する。
↓(以下、いよいよ好酸球へ。顆粒球の分類について)
・好中球、好塩基球、好酸球
好中球:最も一般的な種類で、微生物、特に最近を捕食して殺す。細菌感染に対して重要な役割を果たす。
好塩基球:ヒスタミン(種類によってはセロトニン)を分泌して炎症反応を起こす。
好酸球:寄生生物の殺傷に介入、アレルギー性の炎症反応に関与する。
さて、実際の顕微鏡写真を見てみると・・・
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1452 FIG23-37の(E)):
赤血球は一番イメージあると思いますが、実はかなり小さいですね。
一番小さいのは血小板です。配管で傷ついてるところの修理です。
好塩基球はここにはいないですが、これがヒスタミンを出して痒みの元になる炎症反応を起こします。
そして好酸球が炎症反応に対して介入し、ヒスタミンを中和するというわけです。いわゆる火事の火消し屋みたいなものでしょうか。
僕の場合、血液検査結果を見てみると、両方共に高いですね。
ですが、やっぱり炎症が起きているのを中和しようとしているのか、1型アレルギーには好酸球の増加が見られるのは間違いなさそうです。
ところで、IgEの話が出てないですね、、では解説しましょう。
そもそもIgEって?
Immunogloblin Eの略です。
もう察しておられる方もいるかもしれませんが、Imuuneというのは免疫です。
免疫に関わっているということですね。
免疫の仕組みは、2段構えなのです。
1段目は、自然免疫応答で、白血球やマクロファージによる異物を食べることで除去するやり方があります。
ところがこれだけでは人間は死んでしまいます。
対応が遅れるからです。
そこで、発達したのが第2弾、適応免疫応答です。
脊椎動物ではこの2種類の免疫応答が連携して、異物を認識して正確に排除する仕組みがあるのです。
アミノ酸が1個違うだけでも、攻撃するかしないかを決めるのですから、それはもう半端ではない仕組みです。
何十億年もかけて進化してきたものを、普段気づきませんが享受しているわけです。
普段は休んでいるB細胞も、抗原がやってきたら、すっと立ち上がって反応するわけです。
実は、できるやつというかこいつがいないと人間は死にます。
そして、大量に増殖し、抗原に対する抗体を大量に作り、抗体が抗原と結合することで不活性化します。
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1552 FIG25-17):
そしてそれを攻撃、白血球が消化して始末します。
アミノ酸配列がそれぞれ異なる何十億もの抗体は、B細胞が合成します。
これらをまとめて、免疫グロブリン(immunoglobulin, Ig)と呼ばれます。
血液中に最も多量に存在するタンパク成分の1 つであり,全血漿タンパク重量の約20% を占めます。
正直、The cellを読むまでは血液中のタンパク質で一番多いとは知りませんでした。
それだけ、警備にリソースを割いているということなのでしょう。
そして哺乳類は5クラスの抗体を作り,各クラスの抗体は,抗原が結合するとそれぞれ特有の応答をします。
5人の侍、免疫グロブリンたち
典型的な抗体の形がどのようなものか、見ておこう。
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1552 FIG25-18):
Y字型で、その先端のカップで抗原を捉えます。
大きさは、リンパ球のB細胞がおよそ20μm,この抗体がおよそ20nmなので、抗体が1/100サイズとすれば、人間に喩えるならば人間の体の大きさがB細胞で、眉毛の大きさで抗体かな?
真ん中にヒンジ領域というものがあり、これによってバネのちからが働いて柔軟に結合する姿勢をとることができます。
さて、では5人の侍と書いたけど、一体何と何と何がいるのか?
IgA, IgD, IgE, IgG, IgMの5種類です。
ただし、できる順番は違います。
生まれたてのB細胞とIgM, IgD
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1554 FIG25-22):
IgMの生産については,B 細胞が分化する過程で最初に作る抗体です。しかしながら、多くのB 細胞は,抗原刺激を受けるとやがて抗体のクラスを切り替えます。
IgDの生産については、骨髄を離れた後,細胞表面にIgM 分子と同一の抗原結合部位をもつIgD 分子も作るようになります。
上の図で示したとおり、もともと共通のリンパ系前駆細胞があって、順に出来上がっていく様子がわかります。ただし、これは抗原とは一切無関係に起こることです。
IgGはメインの戦力
IgG は血液中の主要な免疫グロブリンで,二次抗体応答で大量に生産される四本鎖
の単量体です。
IgG 分子の尾部は補体(これによって食作用が活性化)を活性化するほかに,マクロファージや好中球がもつ特異的受容体にも結合します。
この形がいわゆる、典型的なY型の字の形をした抗体ということになります。
IgGと食作用についても参考に画像を載せておきます。IgG抗体が抗原にくっつくと、Y字型の先端部分がマクロファージや好中球の受容体にガチャっとくっつきます。
すると、図に示したように食作用を受けて食べられてしまいます。
昔赤ちゃんの頃遊んでいた、箱の側面に★や■の形の穴が空いていて、形に合わせてブロックを通して遊ぶおもちゃに似ています。
中に入ったブロックは食べられてしまいます。
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1554 FIG25-22):
IgAは分泌系にいるよ!
IgA は,分泌液(唾液,涙,乳汁,呼吸器や腸の分泌液など)中の主要な抗体であり,血液中では四本鎖の単量体だけども,分泌液に放出される前に別のポリペプチド鎖が2 本付加されて二量体になります。
さて、いよいよIgEだ!
IgEは4本鎖の単量体です。
Y字型の根っこの部分が非常に高い親和性でもって肥満細胞の受容体に結合します。
結合することで、ようやく抗体として動作を始めます。
肥満細胞は、結合された場合ヒスタミンやサイトカインを分泌します。
このヒスタミンがアトピー患者にとってはなかなか厄介なものです。
好塩基球や肥満細胞からのヒスタミン(アミン類)の放出が起こると、炎症反応が起こって花粉症、喘息、蕁じん麻ま疹しんなどのアレルギー反応が起きます。
さらに、肥満細胞は好酸球(これは先ほど紹介させてもらいましたが)を活性化する作用があります。
好酸球は、IgE分子と合う受容体も持っていて、IgE受容体に覆われている細胞外の寄生虫も殺せるというすぐれものです。
おかげ様で、IgEに覆われているなんらかの物質(花粉、ハウスダストやアレルゲン)に対して攻撃しに行くので、アトピーでは困るわけです。
ただし、これも本来必要な免疫系であることは間違いないです。
僕の場合、IgEが3207だったので、非常に高かったことになります。
つまり、ヒスタミンが大量に放出されていて、何かに対して攻撃しに行っているということです。
アレロックが効くわけですね。
(The cell, Newtonpress 第5版 P.1557 FIG25-27):
さてさて、TARCも紹介したかったのですが、ひとまず長くなってしまったのでこの辺にしておきましょう。
今回の知識の紹介はThe cellを中心に行いました。
図が多めで平易な表現が多かったために、非常にわかりやすかったです。
初学者にとってはいい本ですね!
ぜひ、もっと詳しく知りたい人は購入をおすすめします。
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ではでは。